6月分まとめ

表題:Influence of suture tension to the tearing characteritics of the soft tissue  an in vitro experiment
出典:Clinical Oral Implant Research 19 2008
著者:Rino Burkhardt
目的
インビトロ研究で、様々なサイズの縫合糸と、様々な特徴の針について、加えた歯肉弁張力が、粘膜組織の引裂性に及ぼす影響を分析する
材料・方法: 40匹の新鮮ブタ死体の下顎骨から、160個のブタ顎粘膜サンプルを採取した鋭利な外科用ブレードを用いて、それぞれの顎から、2個の歯肉サンプルと、2個の粘膜内層を採取した。長方形のサンプルを、25㎜の長さと、5㎜の幅にトリミングした。
上部辺縁には、試験縫合糸の一つを貫通させた。
縫合糸をループにし、束ねて、装置の動くアームに固定した。
実験の第一部では、豚の顎骨粘膜内層と歯肉を用いて、3種類の縫合糸サイズの張力挙動を調べた。本研究で使用した縫合糸は、アメリカ合衆国薬局方によると、3-0、5-0、7-0の縫合糸強度を有する、ポリアミド、またはポリプロピレン製のモノフィラメントスレッドであった。
評価について
(A)縫合糸の破損(結び目の内部、外部)
(B)組織の引裂(貫通孔、サンプルの中央部、上部辺縁から発生)
(C)器具のアタッチメントクランプにおける組織の引裂
(D)最高20Nまで加えた張力に対する、組織の抵抗。
  昇する張力下での、移植片サンプルの挙動を数的に記録し、図にした。
ノンパラメトリック一元検定を用いて、分析を行った。
第二部門では、組織サンプルの引裂性に対して、針の特性が及ぼした影響を記録した。
5-0、6-0強度の、モノフィラメントポリプロピレンスレッドとコンビネーションした角針を、同じスレッドコンビネーションの、先端が円形の針と比較した。
結果
3-0:組織の特性に関係なく、破損はスレッドよりも組織で起きた
7-0:スレッドの破損
5-0:両事象が無作為に起こった
ある事象が起きるまで、粘膜組織サンプルに加えることができた最大力の平均では、実験1では3-0、7-0の太さの縫合糸は、統計的有意に異なっていた。
組織、又はスレッドの破損を引き起こすために加えられた力の中間値は、
3-0:13.4N
5-0:3.6N
7-0:16.1N
針の特性とスレッドの太さからの影響では、針の形に関係なく、6-0縫合糸で、組織破断力の統計的有意の低下が認められた。
検討・まとめ
結果より、創部の裂開は細めの縫合糸を選択することで防止されると推測できる。
・しかし、緻密な咀嚼粘膜組織は、角針を必要とするのであるが、7-0に付ける角針はない。
・6-0・5-0の使用においては、針のデザインや、引裂特性についての相違もないので、 歯周整形外科手術では、このどちらかを使用すればよいのではないか。
・また、初期創部封鎖を達成するためには、 縫合材に加える張力は非常に低い方が望ましい。
・7-0のような非常に細い縫合材は、主に歯槽粘膜や、薄い歯肉形態の減張切開の 細かい縫合に適している。
その一方で、この材料は、負荷によってスレッドが破損するため、より緻密な粘膜組織の封鎖には適さない。
このような症例や、歯周歯肉弁封鎖の日常的な利用には、5-0、6-0を使用する。