日本人高齢者の歯周状況と血中コルチゾール濃度、デヒドロエピアンドロテロンサルフェイト濃度との関連性

出展:Journal of Clinical Periodontoligy Vol.35 No.10 2008

著者:Aiko Ishisaka

研究目的:本横断的研究では、血中のコルチゾールとDHEASをマーカーとして使用し、結果を喫煙状況に基づいて層化しながら、歯周炎とHPA軸との関連性を分析した。

更に、同じ被験者にて、歯周炎の程度は、ステロイド濃度の変化と関連性があるかについても調べた。

これらホルモンを、歯周炎の予知因子として利用できるという、生物学的に妥当な仮説を調べる。

結果:
・喫煙経験のない非喫煙者では、コルチゾール濃度に関しては、CALの三分位数間でのみ、
有意さが発見されたのに対し、PD値でも、CAL値でも、DHEAS濃度、
またはコルチゾール/DHEASモル比に関する有意の関連性は発見されなかった。
・PDに関しては、喫煙状況に関係なく、どのモデルでも、コルチゾール/DHEAS濃度との、 

有意の関連性は、存在しなかった。
・CALでは、潜在的交絡因子を調節した後でさえ、喫煙経験のない非喫煙者での
両モデルにて、第二、第三分位の両方とコルチゾール濃度は、有意に関連し、より
強力な関連性が、第三分位との間で、観察された。
・どのモデルでも、歯周状況とDHEAS濃度は、有意に関連していなかった。

結論:・喫煙経験のない、非喫煙者であった、健全な高齢被験者にて、歯周炎の程度はコルチゾール/DHEASモル比を含む、血中コルチゾール濃度と、有意に関連していた。
・コルチゾール濃度と、コルチゾール/DHEASモル比は、歯周炎の発病機序を
一部評価するための、候補バイオマーカーである。
・他のバイオマーカーも研究されることで、歯周炎の選別試験を開発するため、
そして治療に対する反応をモニターするための新しい方法が開発されるのではないか。