川崎市宮前区 歯科医院、インプラント、審美歯科

口腔粘膜全体の難治性口内炎 
日本歯科評論 vol.79 No.8(2019-8)

本稿の目的:口腔粘膜疾患およびベーチェット病に対するクリニックでの診査、対応

【口腔粘膜疾患に対する診査】
口腔粘膜全体の観察と経過に関する十分な問診が必要。頸部など、可能な皮膚の検索も適宜行う。通常のアフタ性潰瘍であれば、すぐに治癒するが、幾度も再発・多発するようであれば、高次医療機関への紹介が望まれる。

 

【細胞診の可否】
カンジダ感染の否定、悪性の除外などのために擦過細胞診を行うことも可能ではあるが、判定に時間がかかることもあり、施行せずに高次医療機関への紹介がよい。

 

【ベーチェット病の所見】
原因不明であるが、虹彩炎、口内炎、性器粘膜潰瘍、皮膚紅斑様発疹が繰り返し起こり、血栓性静脈炎、関節炎、副睾丸炎も伴うことがある慢性病で20~30歳代の男性に多いという説と性差はないとする説がある。ただし、若年男性では症状が重く、重篤な場合が多い。

口腔では多発性の有痛性のアフタ性潰瘍がみられ、憎悪と寛解を繰り返す口内炎が認められる。

対症療法としては副腎皮質ホルモンが効果があるが、難治性で指定難病である。

皮膚針試験にて特異的反応の有無を確認する。

 

【ベーチェット病を放置するとどうなるか?】
全身の炎症症状は、口腔内動揺に反復しながら寛解と憎悪を繰り返し、慢性に経過する。眼症状の悪化では視力障害を起こし、失明もあり得る。

 

【まとめ】
口腔内で頻繁に診られる通常のアフタとの鑑別が必要である。不用意なレーザー治療や安易な経過観察には注意する必要がある。いつ生じたか?どでに、どのような形でできたか?など経過が大切となる。口腔に症状を呈する全身的な疾患は多く、近年複雑化している。今回のベーチェット病も4つの主症状がそろった完全型がかつては多かったが、最近は減少傾向にあるといわれる。口腔内の慢性再発性アフタをみた場合、症状がそろっていなくても一応ベーチェット病を疑ってみる必要がある。