歯根吸収のメカニズム・分類・マネージメント 歯界展望 
vol.134 No.1(2019-7)

本稿の目的:歯根吸収発生のメカニズムと臨床的なマネージメント

歯根吸収の発生
歯根吸収の発生には、「炎症+非石灰化組織損傷」が必要である。炎症により活性化した破歯細胞がセメント質、象牙質などの石灰化組織に結合すると歯根吸収が開始され、破歯細胞が壊死、もしくは同細胞への炎症性刺激がなくなるまで歯根吸収は進行する。破歯細胞への刺激は、歯周組織や根管の細菌感染や矯正治療による組織炎症、埋伏歯による圧迫刺激、歯根嚢胞、良性腫瘍、悪性腫瘍などさまざまでさる。

歯根吸収の分類
1、歯根内部吸収(Internal root resorption: IRR)
2、侵襲性歯頚部歯根吸収(Invasive cervical root resorption: ICRR)
3、炎症性歯根外部吸収(External Inflammatory root resorption: EIRR)
4、置換性歯根吸収(Replacement root resorption: RRR)
5、圧迫性歯根吸収(Pressure resorption: PR)

臨床所見
歯根吸収は一般的に臨床症状に乏しく、視診での診断が困難であり、多くの情報をX線写真に頼ることになる。

X線所見
CBCTによる3次元的な歯根吸収部の解析により、適切な早期診断、治療計画、予後の把握が可能となる。

まとめ
歯根吸収の発生には、「炎症+非石灰化組織損傷」が必要であり、外傷後の合併症として発症することが多い。外傷歯に対する適切な対応と処置により、多くの歯根吸収を予防することができる。また早期発見、早期治療により病変が複雑化することを事前に食い止めることができる。症状がなく進行するケースが多いため、歯根吸収のX線像を理解し、注意深く読影、診断することが必要である。