永久歯の抜歯原因調査 概要と主な結果
歯界展望 vol.133 No.6(2019-6)

本稿の目的:公益財団法人8020推進財団による、実施全国の歯科医院における抜歯処置の主原因を調査・歯の喪失状況の基礎資料を基に、歯科保健普及啓発の促進

調査対象
日本歯科医師会の第1種会員名簿から系統抽出した5,250人(前回調査5,131人)

調査時期・調査方法
調査時期:2018年6月4日~6月10日
調査方法:郵送法による質問調査、調査機関中抜歯処置について質問への記入を依頼

調査票の発送・回収状況
有効発送数5,229人、回収率44.8%

審査項目
回答者の属性:標榜科名、歯科医院長の性別、年齢、歯科医師、歯科衛生士数など
診療に関する情報:診療の有無、調査実施の有無
抜歯症例に関する情報:抜歯症例の有無、患者の性別、年齢、基礎疾患、抜歯に至った主原因、抜去歯の状態、抜去歯の歯髄の状態など

結果1
●齲蝕と歯周病の割合が減少、破折の割合が増加

結果2
●処置歯(冠または充填)および無髄・根充の割合が増加

結果3
●歯科医院1か所あたりの抜歯数は減少

結果4
●喫煙者では歯周病を原因とする抜歯が1割程度高い

まとめ
齲蝕や歯周疾患による抜歯が減少するとともに、抜歯処置を受ける年齢が高くなっていることなどの影響が推察され、今後の検証を要する注目すべき所見と思われる。また、歯科医院単位の抜歯数の分析からは、この十数年の間に抜歯処置が減少していることがうかがえ、歯科疾患実態調査では報告される現在歯数の増加とも矛盾しない所見が認められた。