GPが知っておきたい診断、治療のための臨床解剖 まとめ 
クイントエッセンス vol.38 NO.4/2019-0842

下顎管の一般解剖
下顎管は、下顎枝内面のほぼ中央に位置する下顎孔から始まる。下顎神経の枝である下歯槽神経が下顎管内を前下走する。
一般的には下顎の舌側皮質骨近くを走り、第1大臼歯付近でもっとも舌側皮質骨に近づく。そこから下顎小臼歯に位置するオトガイ孔に向けて外側に急速に進路を変え、アンテリアループを形成し、オトガイ孔から出ていく。

下顎管の径が平均2.52mmであるのに対し、下歯槽神経、動脈、静脈はそれぞれ1.84mm、0.42mm、0.58mmである。下歯槽神経と比較すると動静脈は非常に細い。

 

切歯枝
アンテリアループでオトガイ孔に向かう神経血管束とは別に、下顎管の延長で前方に向かう枝がある。これを切歯枝と呼び、通常切歯や犬歯に向かって神経と血液を供給する。

 

臼後孔
臼歯部に存在する下顎管と継続する孔で、頻度は3~75%と報告によりさまざまであるが、筆者らのCBCTでの研究では26%の患者に認められた。臼後孔は下顎孔付近の下顎管から直接分枝する臼後管が臼歯部に開く孔であるため、構成要素も下顎管に近い。多くの場合、レトロもらーパッドから1~2歯分前方までの大臼歯頬側歯肉の知覚支配をしている。