歯科診療の放射線防護の落とし穴 まとめ  歯界展望 vol133 NO4 2019-4

患者の被曝線量は口内法X線撮影1枚当たり0.01ミリシーベルト、パノラマX線撮影は1枚当たり0.03ミリシーベルトとなり、一般公衆の年間線量限定とされる1.0ミリシーベルトの数十分の一である。しかし、歯科医療従事者の被爆に関しては、口内法X線撮影を介助する術者が思いがけずに大きな線量を被爆するケースがある。

口内法X線撮影の術者の指の被爆
歯ブラシ型のホルダーを用いて口腔内にX線検出器を固定すると、術者の指への直接X線の被爆を避けることができる。歯ブラシ型ホルダーを術者が保持する手に、さらに含鉛ゴム製の防護手袋を着用すると、術者の指の被爆をなくすことができる。

携帯型撮影装置の術者の被爆
高齢者に対する在宅歯科診療の普及により、患者の自宅で口内法X線撮影を行う機会が増えている。臨床現場では、目的とする歯を正確に撮影するため、やむなく撮影装置を手で持ってX線を照射するケースがある。この手持ち撮影では、撮影者が直接X線を被爆することはない。しかし、患者からの散乱X線が、装置を持つ術者の手指や身体に当たる。
これに対して、撮影装置の照射筒周囲にシールドを設けることで、術者の被爆を減らすことができる。術者及び患者の近くで介助する人は、0.13mm等量程度の薄い鉛エプロンを併用するのが良い。