インプラント周囲炎の治療で利用される抗菌剤は、チタン表面の物理化学的性質と細胞適合性を変化させる。

著者
Georgios A.Kotsakis
出展
JP,2016,87 ,809-819
目的
本研究では、ChAsはチタンの物理化学的性質を変化させることで汚染された表面に対する細胞の反応を妨害するとの仮説を立てた。この仮説を検定するため著者らは、数種類のChAsで汚染を除去した、臨床的に関連性のあるチタン面の物理化学的作用を調べ、また細胞の反応に対するそれらの作用も調べた。
材料と方法
インビボインプラント周囲プラークサンプルから成長させた、複数の種のマイクロコズムバイオフィルムを利用して、グリッドブラスト酸エッチングチタンディスクを汚染した。インプラントの汚染除去を模すために、0.12%クロルヘキシジン、20%クエン酸、24%EDTA、1.5%NaOCL,または滅菌生食水でバニシ仕上げし、表面の物理化学的性質を調べた。未処置の滅菌表面を対照とした。汚染除去の生物学的効果を、細胞増殖、及び分化アッセイで調べた。
結果
汚染除去後の細菌数によって、ChAsには抗菌作用があることが確認された。対象と比較して、浸潤性を有意に変化させた塩、またはそれぞれのChA分子と関係した元素汚染物質がX線光原子分光法によって常に検出された。明らかにChA残存物質を伴っていた全ての表面で、対照と比較した時の何らかの細胞毒性作用が示された。クロルヘキシジン群と比較した時の何らかの細胞毒性作用が示された。クロルヘキシジン群と比較して生食水処理群の方が細胞数は常により多かった。興味深いことに、抗菌作用と細胞数は関係していなかった。
結論
インプラント周囲プラークサンプルから成長させた、複数の種から成るマイクロコズムバイオフィルムモデルを利用した本著者等は、インプラント周囲炎を治療する為に頻繁に利用されているChAsは表面汚染物質を残し、チタン面の物理化学的変化を引き起こし、骨芽細胞の反応に悪影響を及ぼすことを示した。CHXは汚染除去した表面に細胞毒作用をもたらし、チタン面の生体適合性を妨害する可能性があるため、その利用は勧められない。SS,CA及びNaOCLーEDTAは生体適合性を修復するのに効果的であるため、インプラント周囲炎の治療に際しては、それらを利用することが推奨される。臨床利用に最適なChAとは,選択的な細胞毒性を有し、細菌の増殖、及び分化のバランスを、インプラント表面上で維持できるものである必要がある。