インプラント周囲炎に罹ったヒトから採取した生検標本と関係した異物。

著者
Thomas G. Wilson Jr. 等
概要
インプラント周囲炎は、インプラントの喪失に繋がりうる炎症性疾患である。本記述的後ろ向き研究の目的は、インプラント周囲炎に罹っているインプラントの、軟組織生検標本より得られる組織病理学的所見、セメントが及ぼす組織学的影響を、記述することにある。
方法
36個のヒトインプラント周囲炎生検標本を、光学顕微鏡(LM)と走査電子顕微鏡(SEM)を用いて分析した。組織内で発見された異物の組成を、エネルギー分散X線分光計を用いて調べた。
結果
インプラント周囲炎に罹っていた炎症性疾患は、大半のケースで、LMレベルにて、血漿細胞が優勢の、亜急性炎症と慢性炎症が混ざり合ったものであった。SEMレベルでは、36個の生検標本中34個で、X不透過性の異物が発見された。発見された異物の大半は、チタンと歯科用セメントであった。これらの異物は、炎症性細胞によって囲まれていた。
結論
これら物質の正確な導入メカニズムと、インプラント周囲炎においてそれらが果たす役割は、現時点では分からない。それらの病因と、発病機序においてそれらが果たしうる役割を調べるための、更なる研究が必要とされる。
(J Periodontol・January 2015)