インプラント患者での骨長骨喪失の発生と粘膜の炎症。10年研究。

著者
Denis Cecchinato等 
 
出展
Clin.Oral.Impl.Res 25,2014,791-796
目的
インプラント患者とインプラント部の、辺縁骨喪失とインプラント周囲炎の有病率と発症を10年の機能後に調べることにあった。
材料と方法
約5年間機能していた、計407本のインプラントを有していた133名の患者が、2007年の追跡観察(V2)に応じた。133名の患者中100名が2012年の新たな臨床検査とレントゲン検査(V3)に応じた。
臨床検査にはプロービング後の出血(BOP+)とPPDの評価を含めた。レントゲン像上で、0.5mmを超えるクレーター状の辺縁骨喪失が確認されたインプラント部を有していた患者を失敗患者に認定した。
結果 
インプラントの喪失は、V2後に、軟組織の炎症、深いポケット、及び重度の進行性骨喪失(0.5㎜)が観察された、7名の患者の13本のインプラントを摘出した。これら13本のインプラントはデータの分析に取り込まなかった。
サンプルBで(患者100名、インプラント291本)、V1からV3にかけて起きた辺縁骨喪失の平均は0.36±1.4mmであった。
有病率は、2回の訪問間で45%を越える部位で骨喪失は起きず,2mmを超える骨を失ったインプラント部はほんの僅かであった。
V2からV3に、かけて辺縁骨喪失が5ミリを上回っていた部位の発生率は13%であった。
V2からV3に、かけて骨喪失が1㎜と2ミリを上回っていた部位の比率はそれぞれ、8%と3%であった。
治療は、インプラント周囲炎に罹っていた32か所の部位の治療アウトカムをV3で評価した。
治療した32か所の部位中、12か所のみが臨床的に健全であった。つまりV2-V3にかけて進行性の骨喪失(>0.5㎜)は認められず、BOPは陰性で、PPDは4㎜未満であった。17か所の部位で臨床的炎症と(BOP、PPD≧4㎜)、様々な量の付加的な骨喪失が示された。(>0.5㎜=17か所、>1㎜=13か所、>2㎜=4か所)。11か所で深い残存ポケット(PPD≧6㎜)が認められ、それらのうち4か所は2mmを超える進行性骨喪失と関係していた。
結論
辺縁骨喪失量が1mm以上である部位を有していたインプラント患者は、多くなかった。インプラント周囲炎は約10%の患者と4%のインプラント部でおきた。