著者:Algirdas Puisys 等
目的
同種移植膜を用いて薄い粘膜組織を厚くした後の、骨頂の安定性を、骨レベルインプラントはどのように維持するか、調べることを目的とした。
材料と方法
97本の骨レベルインプラント(径4.1mm)を、97名の患者にて評価した(男性28名、女性69名、平均年齢47.3±1.2歳)。垂直的な歯肉の厚さに基づいて、患者等を、試験T群(薄い歯肉、2mm以下、n=33)、試験T2群(同種移植膜で厚くした薄い歯肉、n=32)、及び対照C群(厚い歯肉、>2mm、n=32)に分類した。
インプラントを下顎臼歯部に、一回法で埋入し、骨統合後にそれらをスクリュー維持のメタルセラミック製単冠で修復した。
レントゲン検査を、インプラントの埋入後、治癒後2カ月目、補綴修復後、及び1年後の追跡観察時に行った。
近心面と遠心面で、骨頂の喪失量を計算した。Mann‐Whitney U検定を適用し、有意は0.05にセットした。
結果
2か月後に近心面と遠心面で測定した骨喪失量はそれぞれ、群T1で0.75±0.11mmと0.73±0.10mm、群T2で0.16±0.06mmと0.20±0.06mm、群Cで0.17±0.05mmと0.18±0.03mmであった。
近心面と遠心面の両方で、T1とT2の相違、及び、T1とCの相違は、統計的有意であったが(P=0.000)、T2とCの相違は、有意ではなかった(近心面P=0.861、遠心面P=0.827)。
1年後に近心面と遠心面で測定した骨喪失量はそれぞれ、群T1で1.22±0.08mmと1.14±0.07mm、群T2で0.24±0.06mmと0.19±0.06mm、群Cで0.22±0.06mmと0.20±0.06mmであった。T1とT2の相違、及び、T1とCの相違は、統計的有意であったが(P=0.000)、T2とCの相違は、有意ではなかった(近心面P=0.909、遠心面P=0.312)。
結論
本研究の制限内で結論付けられることに、粘膜組織が2mm以下であると、顕著な骨頂喪失が起きうると予測される。一回法手術中に、同種移植膜で垂直的増多を行うと、骨頂の安定性は劇的に増す。元々厚い粘膜組織が、骨の安定を維持できる能力は、骨喪失の原因となる他の要素がない限り、非常に高い。同種移植膜は、一回法手術中に粘膜組織を垂直的に厚くするのに適したツールでありうるようだ。