上顎洞内にずれたインプラントを摘出するための容易なアクセス、骨窓法

著者:Federic Biglioli
出展:Clin.Oral.Imp2014 1344-1351
目的
11年間に渡り36名の連続治療患者に対して、上顎洞内にずれたインプラントを、シュナイダー膜に対して茎を持つ骨窓の形成を伴う口内アプローチ法を適用した経験について、記述することにある。
材料と方法
2002年1月から2012年6月にかけての11年間でインプラントが上顎洞にずれていたが、急性上顎洞炎の兆候も、慢性上顎洞炎の兆候もみられなかった、36名の全身的に健康な患者を口内アプローチを介しての有茎骨窓法で局所麻酔下で連続的に治療した。
手術法
犬歯エリアから大臼歯エリアに至る水平切開を近心面と遠心面の減張切開を伴いながら入れた。眼窩内神経へと上に伸びる粘膜骨膜弁を挙上することで、上顎洞の前側方壁に対するアクセスを得た。前側方上顎洞壁に2.5×1.5センチ以上の四角形をマジックペンで書いた。治療の第一段階として、2組の穴、つまり、この四角形の底辺の真上に2個と真下に2個との穴を細いラウンドバーで形成した。これは手術の終了時に、骨窓を縫合糸で固定するために行った。第二段階として、先に描いた四角形に従って、骨切り線を形成した。上顎洞の骨壁と、その下のシュナイダー膜を避けないようにカットしながら含めた。その一方で、その上で、骨窓の水平的骨切をダイヤモンドバーで行った。その際には骨はカットしたが、洞粘膜には損傷を与えなかった。骨窓を内側、または外側に開けたところ、上顎洞窩を直視できた。インプラントは、その先端を吸引することで、或いは外科用プライヤーによって、容易に取り出すことができた。
結果
全ての症例でずれたインプラントを難なく摘出した。手術時間は全ての患者で30分を超えなかった。術後7ー10日目に抜糸を行った。術後4ー6ヶ月目に得たCTによって全患者で、骨窓は正しく固定されていたことが示された。骨窓の顕著な吸収は発見されず、骨窓の辺縁とその周囲の骨との間にあった僅かなギャップは完全に消失していたか、或いはほぼ完全に消失していた。特記に値することであるが、上顎洞にインプラントがずれていた36名の患者中12名は上顎の無歯臼歯部に対してインプラントを再び埋入する試みを求めた。これらの患者では、上顎洞からインプラントを摘出した後12ー18ヶ月を経て、ラテラルアプローチによる上顎洞移植を、行った。特記すべきことに、これらの患者全てで、ラテラルアプローチによる上顎洞移植のために採用した標準的な手術法に基づいて、骨窓を再び形成する必要があった。なぜなら全ての患者で先の骨窓は完全に骨化していたからであった。全ての上顎洞移植に成功し、上顎洞底挙上中にも移植中にも、粘膜の残存裂開は発見されなかった。上顎洞移植後に合併症は報告されなかった。それから6-9か月後に移植エリアにインプラントを埋入した。生着率は100%である。
結論
洞粘膜に対して茎を持つ骨窓が形成される口内アプローチは、上顎洞にずれたインプラントなどのような異物を除去するための、シンプル且つ安全な治療法であると著者らの経験に基づいて、結論付けることができよう。