大口蓋神経血管束発見の精度。カダバー研究。

著者:
Jia-Hui Fu等

目的:
研究模型上で、GPBの位置を予測することの正確さを調べることと、その予知性に影響する可能性がある、解剖学的要素を調べることにある。
材料と方法:
上顎骨が完全に有歯であったか或いは部分無歯であった11本の新鮮カダバーの頭部を本研究で利用した。教育目的で献体されたものであり、58-91歳の白人男性に由来した。
カダバー上でのGPBの測定は、22ゲージの皮下注射針を用いてGPBの位置を調べた。
臼歯の口蓋側歯肉を#15ブレードで切り取り、CEJを露出させた。GPBに皮下注射針を刺してある研究模型を、石膏で作製した。GPFからスタートして犬歯領域に至るマスク切開で、GPBを露出させた。
GPBの位置は第一大臼歯のCEJsからの垂直距離(BMV)と第一小臼歯のCEJsからのそれ(BPV)を測定することで決定した。参照歯のCEJにて、口蓋に対して平行に歯周プローブを保持した。
続いて1mmまで正確なステンレススチール製定規をGPB上の口蓋粘膜にプローブに対して垂直に装着した。プローブと定規が交わった点で測定を行った。
石膏模型上でのGPBの予測と測定は、半透明である1枚のテープを研究模型の口蓋に貼り付けたあと模型をそれぞれの参加者に送った。参加者等に先の細い赤ペンで模型上で推測されるGPBの位置に線を引くよう要請した。
1名の検者がカダバー標本で使用した方法と同じ方法で、模型上で同じ測定(BMVsとBPVs)を行った。1名の参加者が全ての測定を終了した時点で、半透明のテープを剥がし、新しいテープを口蓋に貼り付けた。そしてそれを次の参加者に送った。
これを全ての参加者から全ての測定値が得られるまで繰り返した。また第二大臼歯のCEJから正中矢状面上の口蓋までの垂直距離と定義した、口蓋高径(SMV)を11個全ての標本で1名の険者が測定した。
結果:
21個の大口蓋孔を評価のために利用できた。最も頻繁に発見された場所は、第二大臼歯と第三大臼歯の間で(66.6%)第二大臼歯の口蓋側(19.1%)、第三大臼歯の口蓋側(14.3%)であった。第二、第三大臼歯のGPFからCEJまでの平均距離はGPFの位置に依存しながら14.5±2.4mmであった。神経血管束からCEJまでの平均垂直距離はBMVとBPVで13.1±2mmと12.2±2mmであった。平均BPVdとBMVdはそれぞれ0~ー4mmと0~-3mmであった。
結論:
本カダバー研究では、上顎臼歯でGPBを特定することの精度を調べた。研究模型上で推定されたGPBの位置はカダバーで観察された真のGPBの位置よりも、臼歯のCEJsにより近いことが多かった。
審査間バラつきは、口蓋高径と正の相関関係にあった。
口蓋が高いケースでは、GPBの位置に関する参加者間一致度は低めであった。
本研究の結果は、硬口蓋から結合組織移植片を採取することを計画する臨床医の助けとなるであろう。