口内扁平苔癬患者のインプラント治療。前向き対照付き研究

著者:Gonzalo Hernandez
目的
口内扁平苔癬(OLP)と診断された患者でのインプラント生着率を調べること、第二の目的は、BL,インプラント周囲粘膜炎(PIM)、インプラント周囲炎(PI)そして術直後の合併症などのような、いくつかのインプラント依存的、及び患者依存的変数にたいしてOLPが及ぼす作用を調べること。群間相違は存在しないという仮説を立てた。
材料と方法
患者は2003年から2008年にかけて集めた。本前向き研究のために、びらん性OLPと過去に診断された、インプラント支持修復物を希望していた、23名の部分無歯患者を(女性17名、男性6名)、連続的に集めた(OLPG)。外科術式と外科治療後の術式は、それぞれの患者に4.0mm、または5.0mmのTiUniteインプラントを1-6本埋入した。OLPGとCGにはそれぞれ56本と62本のインプラントを埋入した。外科手術時から、固定式補綴物装着までの期間は患者に部分補綴物を装着しなかった。最終補綴物の装着後に患者らを6ヶ月毎に行う、口腔衛生と付加的な指導のための、厳格なメインテナンスプログラムに組み入れた。
結果
対照群に属していた2本のインプラントがそれぞれ荷重後32ヶ月目と46ヶ月目の追跡観察期間中に失われたため、OLP群のインプラント56本とCG群の60本を最終分析に取り込んだ。生着率はOLP群で100%、CG群で96.77%。BLレベルは、OLPG群では74.9%、CG群では76.6%で追跡観察終了時のBLは2.4mm未満であった。3.7mm以上のBLが示されたインプラントはたったの3.5%と3.3%であった。
観察されたBLの中間値に関する群間相違は、統計的有意ではなかった。PIMは66.6%のOLP患者と44.6%のインプラントで発見された。OLP患者のインプラントにおけるPIMのより高い比率は剥離性歯肉炎(DG)の存在と関係していた。
インプラント周囲炎(PI)は27.7%のOLP患者と10.7%のインプラントで認められた。PIMが見られた患者の数はCG群のほうがOLPG群よりも多かったが統計的有意ではなかった。患者を分析のための単位として利用しながらOLPGの群内分析を行ったところ、DGの存在とPIMとの統計的有意の関係も、DGとPIとのそれも示されなかった。
しかし特記に値することであるが、PIMを有していた患者に埋入したOLPG群のインプラントで高めのPDスコアとBOPスコアが示された。PIMを有していた25本のインプラント中20本がDGを有していたOLPG患者で現れたため分析のための単位としてこのインプラントを利用した場合にこのインプラント下位群でPIMはより頻繁に観察された。
3.1mm以上のBL+BOP、排膿と定義したインプラント周囲欠損の数は両群で類似していた。PI欠損の83%は追跡観察期間が59ヶ月以上であったOLPG群の患者で観察された。 患者と関係した変数については、インプラント埋入直後の期間中に痛みを測定し、それぞれの患者の中間値を得た。中間スコアはOLPGで10、CG群で10であった。
結論
びらん性OLPと診断された患者でのインプラントと関係した特徴と、患者と関連した特徴を対照でのそれらと比較した。小さなサンプルサイズという制限はあったものの、扁平苔癬はインプラント失敗、PIM、PIまたは術後の合併症(痛みと創部治癒)の高い発生率と関連していないことが示されているようである。推測されるDGとPIMの関連性を明らかにするためにDGを有する患者は、追跡観察ケア中に、慎重に検査されるべきである。