中年女性における経口ビスフォスフォネートの服用とインプラントの失敗との関係

著者:Julie K.Yip
出展:J.clin.P2012:39 408-414
目的
経口ビスフォスフォネートの服用とインプラントの失敗との関係を調べる。
方法
本研究には、1997年1月から2004年12月にかけて埋入された40歳以上の女性患者の記録を取りこんだ。この期間中に本科では9701本のインプラントを埋入し、そのうち55%が女性患者に埋入したインプラントであった。更にこれらのインプラントは40歳以上の女性患者1460名にクラスタ化されていた。患者らがONJを恐れて外科手術の直前に経口ビスフォスフォネートの服用を中止する可能性を最小限に抑えるため、研究を1997年1月から2004年12月までの期間に制限した。初めてのインプラントの失敗が1件以上起きた女性と定義した症例を、科のデータベースより見つけ出した。骨統合に失敗したインプラント、または観察期間中のいずれかの時期に動揺が発生し、摘出せねばならなかったインプラントを、失敗インプラントと定義した。インプラントが失敗したか否かの判断は、臨床的基準とレントゲン的基準に基づいた。
1997年1月から2004年12月の間に、本科でインプラントが埋入され、インプラントが初めて失敗した、年齢が40歳以上であった計114名の女性患者がデータベースから223名の対照を選択し、インプラントが全く失敗しなかった患者と定義した。
研究変数
本分析での主暴露は、経口ビスフォスフォネート療法であった。インプラント埋入時に以下の薬物のいずれかを服用していたと回答した者を経口ビスフォスフォネート利用者とみなした。アンドロネート、リセドロネート、イバンドロネート、エチドロネート、チルドロネート。本研究では経口ビスフォスフォネートを服用したと回答した女性患者は全員、窒素を含有するビスフォスフォネート、つまりアンドロネートとリセドロネートの利用者であった。
結果
症例と対照の特徴を比較したところ、経口ビスフォスフォネートの使用を除く他の習慣的要素と患者関連要素、年齢、閉経状況、喫煙、糖尿病、甲状腺疾患、高血圧、心臓麻痺、心臓発作の分布はいずれも異なっていなかったことが示された。
しかし、経口ビスフォスフォネートの利用者であるとの回答率は、症例のほうが対照よりも有意により少なかった。ビスフォスフォネートの服用歴があるとの回答のオズは、インプラントが失敗した女性等の方が、それが失敗しなかった女性等よりも高かった。この関係は、ここで選択した特性の調節後も、引き続きほぼ無変化であった。
結論
インプラント治療を求める閉経後の女性等では、経口ビスフォスフォネート療法の停止による骨粗鬆症の進行リスクと休薬日がもたらす利益が、比較検討されるべきである。経口ビスフォスフォネートの長期利用者は、骨のリモデリングを回復させるために、インプラント埋入の3-6ヶ月前とその後数ヶ月間は、経口ビスフォスフォネートの服用を中断するようにとの、最近の提唱を支持している。