予防的メインテナンスを受けていた被験者と、それを受けていなかった被験者のインプラント周囲疾患、5年追跡観察。

著者
Fernando Oliveira Costa
出展
J Clin Periodontol 2012:39:173―181 
目的
インプラント周囲粘膜炎が既に存在していた患者の歯周状況とインプラント状況を2005年に行った最初の臨床検査から、5年後に行った2回目の臨床検査と比較すること。
臨床的歯周パラメーターとインプラント周囲パラメーター、インプラント周囲炎の発症における、予防的メインテナンス、人口統計学的リスク変数、及び生物学的リスク変数の影響を調べること。
材料と方法
年齢20-65歳の非喫煙者212名、部分無歯ブラジル人。2005年に行った、インプラント周囲臨床検査(ベースライン検査、BL)では、137名がインプラント周囲粘膜炎に罹り、19名がインプラント周囲炎に罹っていたが、56名は健全であった。5年後に212名全ての研究参加者を、本追跡観察研究に取り込んだ。
結果
研究期間中にGTP:予防的メインテナンスをうけた群n=39 GNTP:メインテナンスを受けてない群n=41に分けた。
GTP群に属していた被験者らの5年間の平均メインテナンス訪問回数は5.2(±1.7)回であった。GTP群の全員が、研究機関中に、年1回以上、予防的メインテナンスを受けていた。
患者らは3種類のインプラントシステムで修復され、それらはサンプル全体に均一に分布していた。両評価時に存在していた計336本のインプラントと1643本の歯牙を評価することで、群比較を行った。有意差は観察されなかった。FE時の群間比較分析を行ったところ
GNTP群の方がインプラント周囲状況は、有意に不良であったことが明らかとなった。
歯周状況に関してはBOP、PDが4mm以上であった部位の割合が有意により高かった。
インプラント周囲炎と歯周炎の発症率はGTP群のほうがGNTP群よりも有意により低かった。最終的なロジスティック回帰モデルにて以下の変数がインプラント周囲炎と有意に関係していたことが示された。1GTP群:BOPiを伴う部位が>50%であることと、PDが4mm以上である部位が>5%であること2GNTP群PDが4mm以上である部位が>5%であること、歯周炎の存在3全体サンプル:BOPiを伴う部位が>50%であることPDが4mm以上である部位が>5%、メインテナンスの欠如、歯周炎の存在
結論
インプラント周囲粘膜炎がすでに存在していた患者で、予防的メインテナンスを受けていなかった患者では、インプラント周囲炎の発症率が高かった。BOPi,PD,及び歯周炎の存在などのような臨床パラメーターは、インプラント周囲炎の高いリスクと、有意に関係していた。歯周的に支障をきたした人物で、粘膜炎が存在している場合、予防的メインテナンスとインプラント周囲臨床パラメーターのモニタリングが行われるよう提唱される。これらの所見を裏付けるため、様々な集団の代表サンプルを伴う、更なる縦断的研究が必要とされる。