ヒトに装着したレーザーマイクログルーブを有するアバットメント上での、結合組織統合の組織学的証明

著者:Nicolass C.Geurs,Philip J.Vassilopoulos ,Micheal S.Reddy
出展:clinical advances in periodontics,vol1 No1、may2011
はじめに
歯科用インプラントの成功は、下の骨構造とインプラントボディ周囲の骨統合を保護することのできる軟組織障壁の確立に左右される。上皮から根尖寄りのところでレーザーマイクログルーブを有するツーピースインプラント周囲の軟組織に関する、ヒトの組織学的評価と走査電子顕微鏡(SEM)評価で繊維はマイクログループと密に接し、インプラント表面に対して、垂直に配列されていたことから,天然歯列とより類似していたことが示された。本症例シリーズでは、ヒトにて、レーザーマイクログルーブを有するアバットメントに対する、粘膜統合の組織学的分析を提示する。
症例
2009年にUniversity of Alabama periodontal research clinicに来院した2名の患者。上顎小臼歯エリアに3.8㎜径のインターナルテーパードインプラントを埋入。6ヶ月の治癒後、インプラント周囲で3mmの周囲骨構造を露出させた。インプラントから直接歯冠よりのアバットメント周囲にて1㎜のレーザーマイクログルーブを有するゾーンをもつ特別なアバットメントを装着した。アバットメント周囲に、歯肉弁を縫合した。2週間後に抜糸。6週間の治癒後にアバットメント上で5mm径の組織パンチを使用し、1㎜の粘膜カラーを得た。その際には、アバットメント周囲の粘膜カフに対する損傷を、最小限に抑えるように注意した。粘膜とアバットメントを共に取り出し、標本を10%のフォルマリン溶液に浸した。インプラントに4.5㎜のヒーリングアバットメントを装着し、1か月の治癒後に補綴をスタートさせた。
臨床アウトカム(標本の分析)
光学顕微鏡下ではアバットメントの平滑面と、接合上皮細胞との密着が観察された。偏光で視察したところ、アバットメント表面のグルーブに向かって走る、垂直的に方向づけられたコラーゲン繊維が観察された。
検討
インプラントの長期固定にとってインプラント周囲組織の健康は必須である。微生物による攻撃や、機械的問題に由来する悪影響を阻止するという点で、インプラント、またはアバットメントに対する粘膜の統合は、重要な役割を果たしている。これらの攻撃や問題は、マイクロギャップと微細動揺の位置と規模によって増幅される。この付着が安定していると、付着がマイクロギャップから歯冠寄りに、またアバットメント上に確立されえた場合、これらの攻撃や問題に、より良く抵抗できるであろう。
インプラント表面に対して機能的に方向づけられたこれら維持の安定性は、インプラント周囲骨の喪失防止と付着レベルの維持にとって、有益であることが示された。