オステオトーム法で上顎臼歯部に埋入し荷重したフッ素加工インプラントの1年後アウトカム

Osteotomes of a Fluoroid Modified Implant One Year After Loading in
the Posterior Maxilla when Placed with the Osteotomes surgical
Technique
著者:Clark M.Stanford
出典:Osseointegration Research Vol.5 2006
研究目的:上顎臼歯部でフッ素加工インプラント(Fixture OsseoSpeed Astra Tech AB)を
短縮荷重術式で用いた時の臨床効果を調べること。
研究方法:非盲検非無作為前向き多施設研究
University of iowaで連続的に治療した、20名の患者に由来するデータを報告する。
これらのインプラントの大半は、オステオトーム法で埋入した。(92%)
術前の骨治療、軟組織治療は行わず1回法で埋入した。
オープンサイナスリフトは行わなかった。
外科処置:手術は標準的なものであった。
マイクロスレッドが露出したままになっていた場合には、自家骨のみ、
または自家骨+Bio Guide Bilayer Membraneで増多を行った。
アバットメントを連結した直後に、フィクスチャーのベースラインデンタルを撮影し、初期固定を臨床的に、Ostell装置による鳴周波数分析(RFA)で評価した。
補綴処置:インプラント埋入後(1回法)、6週間非荷重で治癒させた。
埋入から2週間後にRFA測定を行った。
6週間の治癒後に、荷重を行うことができるかどうか、臨床評価を行った。
動揺の欠如(アバットメントレベル印象用コーピングを装着した状態で)、打診、
触診時における痛み、或いは過敏の欠如、炎症、感染、軟組織の兆候の欠如を
荷重可の判断基準とした。
暫間修復物を口腔内で作成し、装着した。
暫間修復物から、4,8,12,26,52週間後に、インプラントの固定と、
臨床パラメーターを評価した。
(RFAに加え、プラークの存在、歯肉指数、臨床的動揺度、プロービング後の出血)
埋入後6週目の評価時に、インプラントが荷重されるべきではない、臨床的症状、
または兆候(痛みは動揺など)が存在していた場合には、患者の再評価前に、
さらに6週間(埋入から12週間)治癒させた。
1年荷重後に、最終アバットメントと選択し、最終的な陶材焼付前装冠を作製した。
結果:92%(54/59本)のインプラントをオステオトーム法で埋入し、
58%(34/59)は自家骨を用いての間接的なサイナスリフトと共に埋入した。
骨質は、
タイプⅣ 33ヶ所(56%)
イプⅢ 20ヶ所(34%)
イプⅡ 6ヶ所(10%)
6本のインプラントを、初期固定無しで埋入し、さらに6本のインプラントが、6週目の評価時に
動揺した。
埋入部の骨質は(例:タイプⅢとⅣ)12ヶ所で唯一共通した傾向のようである。
全てのインプラントを評価の対象とした場合、インプラント固定(ISQ)の平均値は、
荷重後の最初の一年間、大きくは変化していないようである。
埋入部を骨質で分けると、タイプⅡ‐Ⅳで有意差が発見された。
骨頂喪失に関する、各埋入法の有意差は、発見されなかったが、
タイプⅢの80%と、タイプⅣの85%では、骨喪失無しが報告された。
検討
・本研究で埋入した全てのインプラントを対象にすると、
 インプラント固定(ISQ)は、荷重後最初の1年間有意に変化なかった。
・埋入部を骨質別にすると、ISQ値の有意差がみられた。
・タイプⅢ、Ⅳの骨での、荷重後最初の1年間に、ISQ値は累進的に上昇した。
・本研究では、辺縁骨喪失の原因が、オステオトーム法とは関係していないということが
 示された。
・インプラント動揺群では、骨質との関係も、骨量とも関係も認められない。
 3ヶ所はタイプⅢ、もう3ヶ所はタイプⅣで、6ヶ所中4ヶ所では、サイナスリフトを行ったが、
 オステオトーム法は6ヶ所全てで行った。
結論:フッ素加工されたOsseo Speedインプラントでは、上顎臼歯部であっても、
早期荷重術式によるインプラント治療を行うことができる可能性がある。
しかし、研究期間が短いため、更なる追跡が必要である。