アバットメントの着脱がインプラント周囲の辺縁骨レベルに及ぼす影響。メタ分析


出展

JOMI2017-32、439-444


著者

Theofilos Koutouzis

目的

アバットメントを繰り返し着脱すると、インプラント周囲の粘膜封鎖に影響して、辺縁骨が喪失しうることが、臨床前研究と臨床研究で示された。本系統的レビューとメタ分析の目的は、アバットメントの着脱が、インプラント周囲の辺縁骨レベルの変化に及ぼす影響を、調べることにあった。

 

材料と方法

2名の精査者が個別に、2015年10月まで、3個の主要データベースを電子検索し、補足として手作業検索も行った。あらかじめ定めておいた、取り込み基準と排除基準

に基づきながら、2段階の検索過程を経た後に適格論文を選択し、バイアスリスクを分析した。辺縁骨喪失に関する、ランダム効果メタ分析を行った。

 

結果

最初に392個の表題と概要が見つかり、分析後に7件の対照付き臨床研究を取り込んだ。インプラント埋入時に、最終的にアバットメントが装着された(FAP)インプラント周囲の方が、複数回アバットメントが装着された(MAP)インプラント周囲よりも、辺縁骨レベルは保存される傾向にあったことが、論文の質的分析によって明らかとなった。

辺縁骨レベルの変化は、FAP群で0.08-0.34㎜、MAP群で0.09-0.55㎜であった。396本のインプラントに関する7件の研究をメタ分析にかけたところ、複数回着脱したアバットメントの方が、骨喪失量は有意により多かったことが示された。辺縁骨喪失に関する加重平均差は0.19㎜であり(95%信頼区間0.06-0.32㎜)、FAP群の骨保存の方が優れていた。


結論

アバットメントの着脱は、インプラント周囲の辺縁骨レベルに有意に影響したと、本メタ分析の制限内で言うことができる。これらの所見は、元の辺縁骨が失われないようにするため、修復治療を計画する段階で、現況の修復術式を見直すきっかけになるだろう。