移植材を伴いながらまたは、またはそれを伴わずに、(歯槽骨内)オステオトームを用いた上顎洞挙上

出典:Clinical Oral Implant Research 20.2009
著者:Bjarni E Pjetursson


目的
オステオトーム法を用いて埋入されたインプラントの、生着率と成功率を分析する。
オステオトームで埋入されたインプラントの、インプラント周囲軟組織パラメーターと辺縁骨レベルを、慣例的に埋入されたインプラントのそれらと比較する。
治療に対する患者の感想を評価する。


検討
・オステオトームで埋入された252本のインプラント中1.3%が、荷重前に失われ、機能後1年目と2年目にさらに1.3%が失われた。 平均3.2年の累積生着率は97.4%であった。

・オステオトーム法でみられた合併症で一番多かったものは洞膜の穿孔(10%)であった。
しかし、これらの合併症はインプラントの統合には影響せず、インプラントは安定し、インプラント支持修復物のための支台として利用することができた。

・傾いた上顎洞底では、シュナイダー膜に穿孔する危険がより高くなる。

・インプラントの初期固定を得るためには、最終オステオトームは一度しか進入させないことが重要である。

・最終オステオトームの径がインプラント径よりも遥かに小さいと、インプラント埋入時に、過度のトルクがかかり、 骨が過度に圧縮されると、より多くの損傷が生じ、多くの骨吸収がおこる。
残存骨高径が5㎜を超えていた場合にはインプラントは全く失われなかったことから、

・5㎜以上の残存歯槽骨高径と、8㎜以上のインプラントを持って、最も安定することが言える。

・PPD、プロービング付着レベル、BOP率、辺縁骨レベルのいずれに関しても、試験群と対照群では有意差は見られなかった。

・インプラント周囲炎の割合が高かった理由としては、隣在歯の骨レベルが、抜歯した歯槽骨より歯冠側に位置するためと説明できる。
歯槽骨レベルが不均衡であると、これらのインプラントの近心寄りPPDは深くなる。

結論
・術前の残存骨高径が5㎜以上で、上顎洞底が比較的平坦な部位の、上顎臼歯部にインプラントを埋入するのに予知的な方法であることが示された。

・PPD、PAL、BOPのような軟組織パラメーターと辺縁骨レベルは、オステオトームで埋入したインプラントと、 慣例的に埋入したインプラントで異なっていなかった。

・90%を超える患者が、受けたインプラント治療に満足し、費用も妥当とみなされた。