歯周・インプラント疾患の新分類

その全貌と臨床・研究に与える影響
まとめ
歯界展望 vol.134 No.2(2019-8)

2018年6月にオランダ、アムステルダムで開催されたEuroPerio9にて歯周・インプラント疾患新分類が発表された。大きな変化として挙げられるのは歯周炎分類で「慢性」「侵襲性」と区別されていた診断名が同一の病変となったことと、歯周炎の重症度と治療難易度を表す「Stage:ステージ」、歯周組織付着破壊、歯牙喪失のリスクを評価する「Grade:グレード」が新たに加わった点である。そしてインプラントに関連した疾患も加えられた。

歯周疾患分類の歴史
1.Clinical Characteristic Paradigm(1870~1920年)
2.Classical Pathology Paradigm(1920~1970年)
3.Infection/Host Response Paradigm(1966~)

適切な診断を行うための歯周疾患分類
歯科治療において、診断は治療に対するマッピングに大きな役割を担う。適切な診断を作ることが出来なければ下記の質問に答えることが出来ない。治療結果を予測するための適切な治療計画を立案するためには、適切な診断が必要になる。
1.どのような疾患の原因が考えられるか
2.専門医に協力を得るような症例か
3.疾患に対して治療を行わなければどのようなことが今後起こり得るか
4.適切な治療法はあるか
5.代替する治療法はあるか
6.どのような治療結果が考えられるか
7.治療後に副作用があるか
8.痛みを伴う治療か
9.審美的に問題が起こり得る治療なのか
10.どの程度の治療期間を要するか
11.治療費はどれくらいかかるか

歯周病学を理解するには、現在使用されている歯周疾患分類を深く理解する必要がある。