再生療法の最前線 「リグロス」「サイトランス グラニュール」 まとめ
日本歯科評論 vol.79 No.9(2019-9)

歯周病治療やインプラント治療において、歯周組織の再建はその予後を左右する大事な基盤であり、これまで多くの研究施設やメーカーによって開発が進められてきた。近年2016年に歯周組織再生剤「リグロス」が、2018年には吸収性歯科用骨再建インプラント材「サイトランス グラニュール」が発売され、再生療法が新たなステージを迎えつつある。

リグロスはどのような薬剤か
有効成分はFGF-2である。効能・効果は「歯周炎による歯槽骨の欠損」に対してであり、その適応症は「歯周ポケットの深さが4mm以上、骨欠損の深さが3mm以上の垂直性骨欠損」となる。特に3壁性や2壁性でより良い治療成績が得られている。用法・用量リグロスを「歯肉剥離搔爬手術時に歯槽骨欠損部を満たす量を塗布する」となっている。「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」への使用は禁忌である。FGF-2は、凍結乾燥品の状態では冷暗所で3年間、室温(25℃)で6か月は安定である。0.3%FGF-2製剤適用部に見られた副作用は、歯肉白色化、歯肉紅斑、歯肉腫脹が各一例であり、重篤な副作用は報告されていない。

リグロスの使用法
通法の歯肉剥離搔爬手術の術式に従い歯肉の切開、粘膜骨膜弁の形成後、投与予定部位に対して、スケーリング・ルートプレーニング等により、歯根面に付着したプラーク、歯石および汚染セメント質と歯槽骨欠損部に存在する炎症性肉芽組織を除去する。その後、投与部位を滅菌生理食塩水にて十分に洗浄し、骨欠損部が唾液等にて汚染されないように注意し、骨欠損底部より欠損部位を満たすようにリグロスを塗布する。そして塗布後、直ちに歯肉弁を復位・縫合する。手術後の歯周訪台の使用、抜糸の時期および術後管理は歯肉剥離搔爬術に従事、術後の歯周組織検査におけるプロービングは治癒経過を考慮し、術後少なくとも3か月以上経過して行うようにする。