川崎市宮前区 歯科医院、インプラント、審美歯科

歯科医院のための内科学講座 補綴臨床VOL52 NO.4 2019.7

放射線治療前後の抜歯まとめ

科学的根拠に基づく口腔癌診療ガイドライン2013では、放射線性顎骨壊死は抜歯を契機に発症することから、照射後の抜歯は原則的に禁忌とされている。照射開始前に照射部位の保存不可能となる歯を除去する必要がある。抜歯後に最低2週間、抜歯窩の治癒を確認する必要があり、そのため照射開始2週間前までに抜歯を終了させなければならない。

どのような歯を抜歯するかの基準については、現時点で一定の基準はない。
・保存不可能な歯
・将来早い段階で抜歯が必要になる歯
・照射中、特に免疫抑制が生じる化学療法を行う場合に急性症状が生じる可能性のある歯
は抜歯する必要がある。
また、
1、症状を有する根尖部病巣を有する歯、根尖部透過像が5㎜以上の歯は抜歯または根管治療
2、歯牙動揺3度以上や8mm以上の歯周ポケットを有する辺縁性歯周炎の歯は抜歯が必要
3、埋伏智歯に関しても現時点で症状がある場合も抜歯をおこなう。

ちなみに、照射中だけでなく、照射後も抜歯は原則禁忌となるから、照射後に抜歯が必要にならないように、治療前抜歯適応歯を慎重に検討しなければならない。

また、放射線治療後は、唾液分泌が減少し、口腔乾燥を生じ、十分な口腔ケアを行わないと齲蝕や辺縁性歯周炎が予想していたよりも急速に悪化するため注意が必要である。口腔がん放射線治療後に抜歯をしてしまった場合、放射線性骨髄炎の発症は60Gy以上の照射及び下顎の抜歯で骨壊死の発症率が高いとされている。

照射後は粘膜も口腔乾燥により脆弱となり義歯による褥瘡を形成しやすく、褥瘡からの感染を生じ、放射線性骨髄炎を生じることもあるから、義歯の装着に注意。治療終了後、最低一年程度は義歯の使用は避けて、使用する際は定期的な義歯の調整を行い、歯肉に褥瘡を作らないようにする必要がある。また、インプラントも推奨しない。

放射線治療と歯科との連携
頭頸部領域の放射線治療の際に、歯科との連携が必要な注意点として
・放射線性顎骨壊死の予防・金属補綴物の除去・口腔内スペーサーの3点が挙げられる。
また放射線性顎骨壊死の予防に関しては、照射前に齲歯を抜去しておくこと、口腔内の衛生状態を良好に保つこと、下顎骨の照射される範囲や線料を提言すること、抜歯前に線量分布を確認することが重要である。