歯周疾患とインプラント周囲疾患の新分類を読み解く【後編】
歯界展望 vol.133 No.6(2019-6)

本稿の目的:「歯周組織に影響を与える因子」および「インプラント周囲疾患の新分類」の紹介

「歯周組織に影響を与える因子」についての新分類
① 対象歯の根に破折や穿孔などの損傷があるかどうか
② 患者が歯周病に罹患しているかどうか
③ 対象歯周囲の歯周組織の破壊の程度
 Grade1.1歯面に限局する狭く深い歯周ポケット
 Grade2.1歯面に限局する広く深い歯周ポケット
 Grade3.2歯面以上に存在する深い歯周ポケット

biotypeの新分類…Thin-scalloped、Thick-flat、Thick-scalloped

Cairoによる歯肉退縮の新分類…①RT1②RT2③RT3
※Cairoの新分類および歯肉の状態、歯の状態(「Pini-Pratoの分類」)の評価を合わせて、
 Gingival phenotypeと歯肉退縮の分類が決定される。

インプラント周囲疾患の定義

  • インプラント周囲粘膜炎: インプラントの周囲粘膜に炎症があるものの、辺縁骨は喪失していない状態
  • インプラント周囲炎: インプラント周囲粘膜の炎症や、それに伴う支持骨の進行性の減少を認めるもの

まとめ
インプラント周囲疾患の症例定義と診断基準決定が決定されたことにより、何を健康とし、何を病的なものとするのか、世界が足並みを揃える契機になると考えられる。これを元に、今後の疫学的調査や治療基準がより明確になると思われる。