インプラント周囲炎にかかっていたヒト生検標本中で発見されるセメント粒子の特性評価

著者
Maria Burbano 
出典
JOMI2015,30,1168-1173
目的
生検標本のうち,いくつかの粒子組成は、市販されている歯科用セメントの組成と関係しているかを調べることにあった。
材料と方法
比較のために19個の生検標本を選択し、エネルギー分散X線分光測定器を搭載した、走査電子顕微鏡(SEM)を利用して5種類の試験セメントを分析した。(TempBond,Telio,Premire Implnt Cement,Intermediate Restorative Material,Relyx)
それを利用することで、組織標本に組み込まれていた異物の化学組成と、5種類のセメントの組成を同定できた。
使用されたセメントがわかっている、それぞれの標本内に存在する粒子に対するための、分類木を利用しながら、統計分析を行った。
結果
分析したそれぞれの生検標本中で、セメントタイプを発見するために利用した、4個の主成分の組成では、比較した全てのセメントがC、Oからほぼ構成され、その他の成分は、それぞれのセメントで異なっていた。
Relyxの組成は他のメーカーと比較して、存在していた微量元素の量か、最も多かったことか観察された。レントゲン不透過にするために一般的に利用される成分であるZrは、Premier Implant Cementでのみ発見された。セメントの組成を完全に特徴付けた後、比較統計分析を行った。
確率水準は0.79から1の範囲であった。Relyx1は3個のサンプルに、PICとIntermediate Restrative Materialは、それぞれ4個のサンプルに、Temp Bond は1個のサンプルに、そしてTelioは7個のサンプルに存在すると予測された。
結論
インプラント周囲炎にかかっていた、19個の生検標本を分析したところ、それらすべてに、一般的に利用されている市販の歯科用セメントが含まれていた。
それによって、インプラントの埋入後に残存する余剰セメントは、インプラント周囲組織に組み込まれて留まりうることと、それらは炎症プロセスの発生を誘発する可能性があることが示唆されている。