連結修復物、または非連結修復物で修復した、隣接する数本のインプラント周囲における辺縁骨レベルの変化を臨床評価する。10年無作為対照付治験。

著者
Paolo Vigolo 出展:JOMI 2015 30 411―418
目的
セメント固定式修復物で上顎骨に、最長10年間機能的荷重を付与した、複数の隣接する連結インプラントと非連結インプラントをそれら周囲の辺縁骨レベルの変化について、比較することにあった。
材料と方法
2002年から2003年にかけて3本の隣接するインプラントを埋入した全ての連続患者を、本研究に取り込んだ。全ての患者で第二大臼歯は欠損していた。左上インプラントを連結セメント固定式修復物で修復することに、そして右上インプラントを、非連結セメント固定式修復物で修復することに決定した。
全てのインプラントが幅4mmで、エクスターナルーヘキサゴン形状をしていた。
インプラントの埋入から4ヵ月後の2次オペ時に、径がマッチしたチタンヒーリングキャップ(THA54)を、インプラントに連結した。全ての補綴段階、つまり印象採得の段階、アバットメントの試着段階、及び最終試着の段階で、レントゲン像を得た。連結、非連結、全ての最終修復物を、暫間セメント材で(Temp Bond NE)接着した。追跡観察プロトコルは、最初の1年間は3ヵ月毎、その後5年間6ヵ月後と、そして研究の残りの5年間は12ヵ月毎の、患者評価から成った。
結果本研究では、最終患者の10年後の追跡観察時に終了した。1回目の追跡観察時には123本のインプラント(連結群21名、非連結群20名の患者)を評価し、2回目の追跡観察時には114本のインプラント(連結群20名、非連結群18名)を評価した。
粘膜の退縮、インプラント周囲炎、インプラント周囲粘膜炎、または瘻孔などのような生物学的合併症や、アバットメントまたはクラウンの緩み、陶材の破壊、または斬間的にセメント固定した最終クラウンの緩みなどのような補綴的合併症は、手術中、術後の、期間中、及び追跡観察時にいずれの患者でも認められなかった。
5年後の平均辺縁骨喪失量は連結群で0.7㎜、非連結群で0.8㎜であったことが示された。同量(0.1㎜)の相違が最終追跡時まで維持された。10年後は、非連結群で1.3㎜、連結群で1.2㎜。
実際のところ5年目から10年目にかけての変化は2個の群で同じだった。
結果
この統計分析では骨喪失量に関する2個の群の有意差が発見された。
変化に起因しなかった相違が存在したと結論付けることができたが、インプラントの埋入から10年経た時点での0.1㎜の、変化が臨床的に意義深いこととは思えない。