大臼歯の抜歯直後に埋入したインプラントでの顎堤保存。イヌの実験研究。

著者
Giacomo Favero等
目的
頬側面の水平的な残存欠損が2mmを超えていた抜歯窩に、舌側寄りに即時埋入したインプラントにおける骨吸収に対して、コラーゲンメンブレンと共に用いた脱蛋白牛骨ミネラル(DBBM)が及ぼす作用を、調べることにあった。
材料と方法
6頭のLabradorにて、M1の近心根を抜髄し、ガッタパーチャとセメントで根管充填した。歯肉弁を挙上し、大臼歯をヘミセクションして、遠心根を摘出した。インプラントを、舌側寄りの位置に、そしてそのショルダーが頬側面の骨頂と同レベルになるようにしながら、埋入した。埋入後には、試験部と対照部、それぞれの頬側面に、約2.5mmと2.71mm幅の欠損が存在した。左側(試験)でのみ、脱蛋白牛骨ミネラル(DBBM)粒子を欠損に移植した後、コラーゲンメンブレンを装着した。対照部では、バイオマテリアルは適用しなかった。治癒は非粘膜下とした。
結果
3ヶ月の治癒後に、1本の対照インプラントが骨統合せず、反対側の試験インプラントと共に、分析から除外した。残りのインプラントは全て、成熟した骨内で統合した。頬側面の歯槽骨頂吸収量は、試験部の方が、対照部よりもより多く、それらはそれぞれ、2.2±0.9mmと1.5±1.3mmであった。舌側板の垂直的吸収量は、試験部と対照部でそれぞれ、1.6±1.5mmと1.5±1.1mmであった。小さな残存DBBM粒子のみ、試験部で発見された(1.4%)。
結論
抜歯窩に即時埋入したインプラントでの、2.5mm以上という大規模な頬側面欠損を満たすためにDBBM粒子を利用しても、未治療の部位よりも高い度合いまで、頬側面骨壁が保存されることは、なかったことが本研究で示された。