口腔底に対する動脈供給のばらつき、並びにインプラント外科手術時の相対的な出血リスクに関する評価

著者
Yuji kastumi等 出展:Clin.Oral.Impl.Res24 2013 434-440
目的
ヒトカダバーを利用しながらオトガイ下動脈と舌下動脈の三次元的経路を明らかにすることと、顎舌骨筋、舌下腺及び下顎骨との微細形状的関係を明らかにすることにあった。
材料と方法
本研究では27体の日本人カバター(男性14体、女性13体)、新潟大学(24体)と医科歯科(3体)での解剖学講座中に使用した。年齢61歳―101歳、平均85.9歳
顔面動脈から顎舌骨筋を貫通していた、またはそれを迂回して口腔底へと向かっていた分枝までのオトガイ孔下動脈を解剖した。舌下動脈は舌動脈から口腔底を通過する分枝までを解剖した。最後に、オトガイ孔下動脈、及び舌下動脈の経路と顎舌骨筋、舌下腺、及び下顎骨との関係を調べた。更にStudentst検定と統計ソフトを利用しながら、タイプⅠ、タイプⅡ及びタイプⅣを動脈の太さについて比較した。
結果
オトガイ下動脈と舌下動脈の経路は4個のパターンに分類された。タイプⅠ:舌下のスペースは、舌下動脈から供給を受けていた(63%)タイプⅡ:舌下動脈とオトガイ下動脈の両方から供給を受けていた(5.6%)タイプⅢ:舌下動脈を伴わずオトガイ下動脈から供給を受けていた(29.6%)タイプⅣ:舌動脈に端を発する深い舌動脈を伴わないタイプⅢ(1.8%)
タイプⅡ,Ⅲ、Ⅳではオトガイ下動脈は顎舌骨筋を貫通するか顎舌骨筋の上を迂回し、下顎表面近くに至る。舌下スペースを通過する動脈のうち1/4は舌下腺と下顎骨の間に位置していた。動脈の太さとそれらのパターン(タイプⅠ、Ⅲ、Ⅳ)との関係では舌動脈に関する各パターン間の有意差が存在。男性と女性は、顔面動脈の太さと、舌動脈の太さについて有意に異なっていた。顔面動脈、舌動脈、両動脈の分岐パターンとの関係を、男女それぞれで調べた。結果、女性の舌動脈の太さに関する、顔面、舌動脈の分岐パターン間の有意差が存在した。また2011年の9個のヒトカダバーの舌動脈の太さとオトガイ動脈の太さに関する顔面動脈と舌動脈の分岐パターン間の優位差も見られた。
結論
タイプⅡ、Ⅲ、及びⅣのオトガイ下動脈は、インプラント外科手術中に傷つきやすい。口腔底に対する動脈の血管供給についてのバリエーションをX線解剖で調べることが出来れば、口腔底での出血リスクが術前に明白になるだろう。実際に歯科で動脈供給のバリエーションを知るために強化CTを利用することが出来る。強化CTと実際のカダバー解剖を併用しながら、オトガイ下動脈と舌下動脈のバリエーションが調べられる更なる研究が今後必要とされる。