抜歯後の顎堤を保存するための異なるテクニックを、レントゲン評価する。無作為対照付き臨床治験

著者:Ronald E.Jung等
目的
異なる顎堤保存法を適用した後の、歯槽堤のレントゲン像上変化を抜歯後6か月目に調べることにあった。
材料と方法
上顎または下顎に抜歯を必要とする無症状の前歯、または小臼歯を1本以上有していた40名の患者を集めた。患者らを3種類の試験顎堤保存群のいずれか、または対照群に無作為に割り振った。1軟組織レベルでの何らかの更なる処置を伴わずに、骨頂から1-2mm下のところにポリ(乳酸―グリコール酸)コーディング(easy-graft)とともにβリン酸カルシウム(500μm)を移植する群(βTCP群)2骨レベルで10%のコラーゲンを伴う脱灰牛骨ミネラル(DBBM-C:Bio-Oss Collagen)をそして軟組織レベルで、コラーゲンマトリックス(CM:Mucograft)を適用する群(DBBM-C/CM群)
3骨レベルでDBBM-Cをそして軟組織レベルで自家軟組織パンチ移植片(PG)を適用する群(DBBM-C/PG群)対照群では更なる治療は行わず抜歯窩の血餅をそのままにしておき自然治癒させた。追跡観察は抜歯後6か月目に、全患者をリコールし2枚目のCBCTスキャンを先と同じセッティングで得た。
結果
測定した3個のレベルでの、頬側面骨板の厚さは最小で0.6mm最大で1.8mmであったが、治癒期間の統計的優意差は示されなかった。(P>0.005)舌側面における高さの平均変化(LHPlateC)ではDBBM-C/PG群とβTCP群間の相違は統計的有意に達した。
頬側面における高さの平均変化(BHPlateC)では4個の群は統計的有意に異なっていなかった。ΒTCP群、DBBM-C/CM群、及びDBBM-C/PG群のそれぞれの骨移植材の高さの平均変化では頬側面でのDBBM-C/PG群とβTCPと舌側面での2個のDBBM群とβTCP群との相違は統計的有意に達した。骨頂から3通り離れたレベルでの顎堤幅径の平均変化(HW-1C、HW-3C、HW-5C)3個すべてのレベルでDBBM-C/CM群、及びDBBM-C/PG群は有意に異なっていたが、他の多くの群間相違は統計的有意に達した。
結論
コラーゲンマトリックス(CM)、または自家軟組織パンチ移植片(PG)のいずれかで覆いながら、抜歯窩にDBBM-Cを適用したところ、抜歯後6か月目には、自活的に治癒させた場合よりも、初期封鎖を伴わずにTCPのみ使用した場合よりも、垂直的な変化と水平的な変化はより少なかった。
しかしいずれの治療法も、歯槽堤の輪郭を完全に保存することはできなかった。インプラント治療、または慣例的な補綴治療の長期アウトカムに対してこれらの治療法が及ぼしうる作用についてはまだ分かっていない。